
①1次予防:食事、運動・肥満、アルコール、喫煙
②2次予防:早期発見のための検査
③3次予防:外科的治療、内視鏡治療
大腸癌を予防するには1次予防、2次予防、3次予防を行うことで実現可能です。3次予防に関して治療後に1次予防、2次予防を引き続き心掛けてもらえたら実現できると思いますので、今回は1次予防と2次予防について書いていきます。
特に1次予防の項目を少しでも覚えていただけるといいと思います。
①1次予防 食事・運動・肥満
結論から言います。一次予防では赤身肉、加工肉、アルコール、喫煙などの危険因子を避けるもしくは減量すること。野菜、線維、果物、牛乳、カルシウムなどリスクを減らしてくれる食べ物を十分摂取することが重要です。
食事
・赤身肉と加工肉の研究では、赤身肉1.28倍、加工肉1.20倍発癌リスクを高める結果が出ています。(赤身肉15例、加工肉14例の症例対象研究をもとに行ったメタ解析結果)ただし、発癌リスクをなぜ上げるのかは機序は今のところ不明です。
・アルコールの飲酒は結腸癌を1.5倍、直腸癌を1.63倍発癌リスクを高めます。(16のコホート研究をまとめたメタ解析結果)
・喫煙は以前は大腸癌との関連は指摘されていなかったのですが長期間の追跡調査で1.18倍発癌リスクを高めることが分かっています。(6つのコホート研究をまとめたメタ解析結果)
・食物線維の大腸癌に対する予防効果は0.84倍、果物の予防効果は0.91倍という結果が出ています。(食物繊維13試験、果物と野菜摂取14試験の前向き研究のメタ解析結果)
さらに大腸の部位によって予防の効果が異なており遠位大腸(お知りに近い部分)の方がよりその効果が高いことが研究結果で分かっています。
・牛乳の大腸癌に対する予防効果は毎日250ml以上飲むと発癌リスクが0.86倍に減少した結果があります。(前向き研究10試験のメタ解析結果)
・カルシウム高摂取では低摂取群と比較して0.86倍、大腸腺腫に関してだけ言えば0.74倍まで抑制されたという結果があります。
運動習慣
運動は大腸癌を予防する効果があることが知られておりおおよそリスクを40%程度軽減するといわれています。
逆に肥満はよくないことが知られておりBMI≧30の人たちとBMI≦25の人たちでは発癌リスクがBMI≧30の方で1.19倍リスクがあるとされています。この結果は男性で顕著であり男性では1.41倍にリスクが上がるようです。

②2次予防 早期発見のための検査
大腸癌を検査して早期発見し適切な治療を行うことにより死亡率を減少させることが出来ます。早期癌であれば手術をしなくても内視鏡的に切除し根治を目指せることもできますし、大腸癌の前病変である腺腫の状態で発見できれば大腸癌を防ぐことが出来ます。
主な検査手段
・免疫学的便潜血反応
メリット:最もメジャーで健診で行われている、簡易
デメリット:進行大腸癌では陽性率が高いが早期大腸癌では40%を下回る、痔核での陽性例が多い
・大腸内視鏡検査
メリット:早期大腸癌や前病変の腺腫も見つけることが出来る、小さい腺腫であればその場で治療ができる
デメリット:下剤を飲む必要がある、人によっては痛みを伴うことがある
・CT colonography 腸管に空気を入れてCT撮影を行い2D、3D画像に構築する
メリット:早期大腸癌やある程度の大きさの腺腫も見つけることが出来る(10mm以上の腺腫で感度90%)、検査時の痛みがない、検査時間が短い
デメリット:下剤を飲む必要がある、対応施設が少ない
・カプセル内視鏡検査 3cmほどのカプセル型カメラを口から飲み込む
メリット:検査時の痛みがない、検査時間が短い(飲み込んでおしりから出てくるのを待つ)、感度はCT colonographyと同程度と言われている
デメリット:特殊な状況でしか保険適応がない、臨床試験がまだ少なく十分な実績が分かっていない
・便DNA解析
まだあまり実用化されていないですが便中の遺伝子異常を調べる検査です。感度は52~91%、特異度は82%~97%で、腺腫の感度は15~82%と低下します。アメリカのFDAが便DNA解析試薬を認証しており今後進歩が期待できる検査です。
まとめ
赤身肉や加工肉の摂取量を減らし、野菜、果物の摂取量を増し適度な運動を心掛けて大腸癌を予防していきましょう。あくまでもリスクを減らすだけなので定期的に健診を受けて早期発見に心掛けましょう。

